開発への想い

ここ2,3年、フードだけのシンプルなアイテムを長年愛用してきました。一見すると布を1枚かぶっていて暑そうに見えるのですが、実際には首元に直接あたる太陽の熱を遮ってくれるので、真夏でもかなり快適になるんです。そうした体験から「首まわりの日除けの工夫」は自分にとって大きなテーマでした。

そこで[sn]スーパーナチュラルとコラボして、ltmではメリノウールを使った新しい山頭巾をつくりました。メリノは体温調節に優れ、風が抜ければ涼しく、冷えればしっかり温かさを保ってくれます。さらに日除け効果もあるので、直射日光のきつい場面でも頼れる存在です。

そして1年半にわたる試行錯誤を経て、この秋ついに新発売となります。新しい形として“観音開き”の仕様を加え、首元を開ければ風が通り、閉じれば保温できるようにしました。フィールドでの経験から生まれた、小さな工夫の積み重ねです。

観音開きにすることで受けるメリット


観音開きでストレスゼロ

登山やロングトレイルでは、日差しの強さや天気の変化に応じて、フードを被ったり外したりするシーンが何度もあります。曇ってきたから外す、太陽が顔を出したから被る。そんな小さな動作が意外と多いものです。

さらにメガネや帽子、マスクを着けていると、そのたびに外したり直したりしなければならず、思った以上に手間がかかります。フードを外した後も置き場に困り、岩に置いたり、仲間に預けたりすることもありました。正直なところ、ちょっと面倒に感じていました。

そこで考えたのが「観音開き」仕様です。首元からサッと開け閉めできるため、メガネや帽子を外す必要がありません。マスクをしていても、そのまま簡単に着脱できます。余計な手間がなく、快適に被ったり外したりできるのが大きなメリットです。

こうした実体験の積み重ねから、「もっと気軽に使える山頭巾を作りたい」と思い、この観音開きの形が生まれました。使い勝手の良さを追求した結果、ようやく形にできた一枚です。



1年半の試行錯誤で生まれた7つのボタン

ltmのメリノウール山頭巾は、首元に7つのボタンを備えています。

これはただのデザインではなく、体温を感じやすい首周りを細かく調整できるようにするための工夫です。

人によって首の長さや好みはさまざまです。

男性であればボタンをすべて留めてしっかり日除けや保温に使えますし、首の短い方や開放感を求める方は下2つを外してゆとりを持たせることで、自分の首のサイズや体感温度に合わせた着こなしが可能です。

実は、このボタンシステムにたどり着くまでに約1年半の試行錯誤がありました。

当初は観音開きをドローコードで調整する方式にしていたのですが、引っ張ると猫のヒゲのように生地が飛び出してしまい、見た目も機能性も理想に届きませんでした。

そこから何度も改良を重ね、ようやく完成したのがこの7つのボタンシステム。

小さなパーツひとつにも意味を込め、アウトドアでも日常でも安心して使える山頭巾に仕上げました。


7つのボタンで自在に調整

ltmのメリノウール山頭巾は、首元に7つのボタンを備えています。

この7つを自由に組み合わせることで、気温・風・日差しといった環境に応じた使い方が可能になります。

僕自身、半年間フィールドテストを繰り返しながら、季節やシーンごとに最適なボタン留めの方法を試してきました。

その中から特に使いやすかった「おすすめのボタン留めスタイル」をご紹介します。


春夏は全開けで涼しく快適

春から夏にかけてのおすすめは、**ボタンをすべて外した“全開けスタイル”**です。

前が大きく開くことで風通しが抜群に良く、汗ばむ季節でも快適に過ごせます。

首の後ろ部分だけは布が残るため、直射日光を遮り、首筋の日焼けや熱さを防いでくれるのもポイント。

「涼しさ」と「日除け」を両立できるスタイルです。

ただし全開けは風に煽られやすいので、その点だけご注意ください。


暑くて風のある状況は下1つ留め“ハイブリッド”

先ほどご紹介した全開けスタイルは涼しく快適ですが、風が強いとフードが煽られて飛ばされやすいという弱点があります。

そんなときにおすすめなのが、**下のボタンをひとつだけ留める“ハイブリッドスタイル”**です。

下を留めることで風に飛ばされにくくなりつつ、首周りにはしっかり風が通るので涼しさもキープできます。

全開けと全閉じのちょうど中間の使い心地で、春から夏の風がある日に特に役立ちます。

ただし、このスタイルにはひとつ弱点があります。

ボタンの上側の生地が視界にかかり、特に下山時には視野が狭くなって足元が見えにくくなる場合があるのです。

そんなときは、上のボタンをひとつだけ留めるスタイルに切り替えるのがおすすめです。

視界を確保しながら快適に歩くことができます。


防寒・日除けに最強!全部留め

寒いときや「絶対に日に焼けたくない!」という方には、全部留めスタイルがおすすめです。

7つのボタンをすべて閉じれば、首元から顔まわりまでしっかり覆うことができ、まるでバラクラバのように目元だけを残してカバーできます。

強い日差しの中でも安心でき、冷たい風を防ぐこともできるので、秋冬のフィールドや高所での使用にもぴったり。

防寒と日除けを両立できる最も安心感のあるスタイルです。

ただし、この全部留めには特別な留め方があります。

通常の順番で留めてしまうと窮屈になったり、視界にかかってしまうこともあるため、工夫が必要です。

詳しい方法は次のパートでご紹介します。


交差留めで完成!全部留めスタイル

全部留めスタイルでは、首元から顔まわりまでしっかり覆うことで、バラクラバのように目元だけを残してカバーできます。

やり方のポイントは、上部の左右に分かれているボタンを交差させるように留めること

このようにすれば、生地がしっかりと重なり合い、フィット感を高めながら防風性や日除け効果を最大限に発揮できます。

さらに、調整用として配置された3つのボタンのうち、真ん中を活用するアレンジもおすすめです。

フィールドの状況や顔の形に合わせて、自分に合った留め方ができます。

ただしボタンが7つあるため、初めてだと混乱しがちです。

コツは、最初に一番下のボタンを留めてから順に上へ進めること

これなら手順がわかりやすく、スムーズに仕上げられます。

生地のこだわり

採用糸:NIKKE AXIO(日本毛織が開発した高機能ウール糸)

織布:ニッケテキスタイル(尾州産)

素材構成:高級メリノウール84%(ニュージーランド産)/ポリエステル16%

生地重量:120g/㎡(薄手設計・通年使用可)

対応シーズン:4シーズン(冬はフードをかぶれば防寒性アップ)

繊維の細さ:18.5マイクロン(高級メリノ、なめらかな肌触り)

サイズ:縦42cm 首周り25cm (平置き)



今回のメリノウールの山頭巾には、尾州の老舗「ニッケテキスタイル」で織り上げられたウール生地を使用しています。

尾州は世界的にも知られる毛織物の産地であり、その高い技術力と仕上げの美しさには定評があります。そこに採用したのが、日本毛織(NIKKE)が開発した高機能ウール糸「NIKKE AXIO」です。

ニュージーランド産の高級メリノウールを84%という贅沢な比率で使用し、残り16%にポリエステルを混紡。

このNIKKE AXIO糸は、ポリエステルを芯材のように組み込むことで耐久性や速乾性を高めつつ、ウールの持つ柔らかさ・調湿性・保温性を最大限に引き出しています。結果として「ウールは乾きにくい」という弱点を補い、登山や日常でより安心して使える素材となりました。

生地はわずか120g/㎡とシリーズ最軽量。軽さに加えてストレッチ性も備えており、行動中のストレスを最小限に抑えます。さらに18.5マイクロンというニュージーランド産の高級極細ウールを採用しているため、まるで高級コットンシャツをまとったかのような柔らかさで、肌へのストレスを感じさせません。

メリノウールは体温調節に優れ、暑いときには涼しく、寒いときには暖かさを保ちます。また紫外線を自然にカットする日除け効果もあるため、真夏の強い日差しの下でも首元を守ってくれます。さらに、保温性・吸湿性に優れ、シワになりにくく、汚れにくいという日常的な使いやすさも兼備。加えて、抗菌・消臭効果を繊維自体が持っているため、長時間の行動や連泊の山行でも清潔で快適に過ごせます。



尾州の技術が生んだ主力素材、NIKKE AXIOとは

NIKKE AXIO®は、独自の撚り方でつくられた特別なウール糸です。

ウールのやわらかな繊維の中に細いポリエステル糸を芯のように入れ、らせん状に組み合わせることで、しなやかで強い糸に仕上げています。

表面はメリノウールそのものの柔らかさと高級感をそのまま残しつつ、内側には速乾性や耐久性といった機能を秘めています。見た目や肌ざわりはソフトなのに、実際には強さと快適さをあわせ持つ“奇跡の交撚糸”です。

縫製

登山やロングトレイルのように長時間動き続けると、ウェアの縫い目が肌に当たって不快に感じることがあります。そこで役立つのが「フラットシーム」という縫製方法です。通常の縫い目は段差ができてゴロつきやすいのに対し、フラットシームは縫い合わせ部分が平らになるよう仕上げられています。そのため、肌に当たったときの摩擦や違和感が少なく、快適な着心地を保てるのが大きな特徴です。

さらに縫い目がすっきり見えることで、デザイン的にもスマートに仕上がります。見た目の美しさと実用性を両立できるため、アウトドアだけでなく日常使いでも違和感なく着こなせるのも魅力です。ltmでは、このフラットシームを積極的に採用し、肌あたりの優しさと機能美を大切にしたものづくりを行っています。

カラー展開

山夜ネイビー
夕暮れオレンジ
山肌ベージュ
深山グリーン
湖影ブルー

今回の山頭巾は、全5色展開でご用意しました。

山夜ネイビー・夕暮れオレンジ・山肌ベージュ・深山グリーン・湖影ブルー

山夜ネイビーは落ち着きのある定番カラーで、どんな服装にも合わせやすい万能さが魅力です。

夕暮れオレンジはアウトドアらしい鮮やかさで、街でも山でも差し色として映えます。

山肌ベージュはナチュラルで柔らかい印象を与え、幅広いコーディネートに自然に馴染みます。

深山グリーンと湖影ブルーは自然を思わせる爽やかなトーンで、フィールドでも街でも軽快なスタイルを演出してくれます。

定番からアクセントまで揃った5つの色。

その日の気分やスタイルに合わせて、自分にぴったりの一枚を選べるのが魅力です。

日常にもアウトドアにも溶け込むカラーバリエーションで、幅広い楽しみ方をしていただけます。

使用上の注意・ケア

この山頭巾を長く快適にお使いいただくために、以下の点にご注意ください。

  • 洗濯の際は 中性洗剤を使用し、クリーニングネットに入れて洗うことをおすすめします。
  • アイロンをかける場合は 必ずあて布を使用してください。プリント部分やラベルへのアイロンは避けてください。
  • 強い日光や照明を長時間受けると、変色の恐れがあります。着用や保管の際は直射日光を避けてください。
  • 生地の特性上、摩擦によって毛玉ができる場合があります。気になる場合は毛玉取り器などで優しくケアしてください。
  • 着用や洗濯を繰り返すことで、他の衣類に毛羽が付着する場合があります。洗濯時は同系色の衣類と一緒にすることをおすすめします。